PIMCOがアジア太平洋地域の投資家を対象に実施した調査では、 同地域で楽観視が高まる一方で、日本の投資家は慎重な姿勢であることが判明
東京(2021年4月15日)- 世界をリードする債券のアクティブ運用会社であるPIMCOは本日、アジア太平洋地域(APAC)の投資家心理調査2020年第4四半期版の結果を発表しました。
今回の調査では、グローバルや地域の経済について、APACの投資家の間で楽観の度合いが極めて高いことが確認されたものの、日本の回答者(以下、日本の投資家)は、数十年におよぶ日本経済の低迷を背景とした固定観念から抜け出せないためか、同地域の他国の回答者より、日本、APAC、世界の経済成長展望について、弱気な見方をしていることが分かりました。また日本の投資家は、自分のポートフォリオの見通しについても同地域の他国と比べて、慎重な姿勢がうかがえました。
日本の投資家の投資家心理指数は、前四半期から、APACの経済見通しについては45%、世界経済の見通しは44%それぞれ改善し、向こう12ヵ月については景気拡大の期待が大きく高まったといえます。しかし、日本の投資家心理指数は、依然としてAPACの投資家に比べ大きく下回っており、APACの経済見通しについては日本の投資家の心理指数は14%(APACの投資家は34%) でした。 また世界経済の成長期待についても、日本の投資家心理指数は6%と、アジア太平洋地域の投資家の投資家心理指数の13%を下回っています。
一方、日本の投資家自身が保有するポートフォリオへの期待度合は46%と、前四半期の調査から11%上昇しています。ただし、APACの投資家の回答である78%を依然として大幅に下回っています。
自身のポートフォリオへの期待度の上昇は、経済成長に対する懐疑的な見方が継続する状況に相反するもので、特にボラティリティが高い環境下では、投資家の期待値や行動、意思は必ずしも一貫性があるわけではないことを示す例の一つといえるでしょう。
今回の調査結果について、ピムコジャパンリミテッドの日本における代表者でクライアントサービス部門とビジネスマネジメント部門を統括する竹内一郎は、次のように述べています。「APAC全体で投資家心理が改善したことを喜ばしく思う一方で、日本の投資家心理はAPACのほかの国とは異なる点が見られました。また前四半期の調査結果と同じく、今回の調査でも、悲観的な市場見通しに反した自身のポートフォリオへの期待値の高さなど、投資家の見方が必ずしも理にかなっていないことがわかりました。認知バイアスや感情バイアスが、投資家の期待や行動において潜在的な矛盾につながる可能性、そして投資判断をする過程において、これらのバイアスを理解し排除することの重要性を浮き彫りにしています。経験則が役に立つことは多いですが、時に大きなバイアスが生じる場合もあります。現在のように変化の激しい環境下では、投資のプロのアドバイスなどをうまく取り入れることも資産運用では大切なことだと考えています」 。
そのほかの主な調査結果:
- 日本の投資家は新型コロナウイルスの影響について依然として悲観的 – 回答者の44%(前回調査では52%)が、パンデミックは自分のポートフォリオにマイナスの影響があると回答
- ポートフォリオをリバランスする意向は高まっていない – 日本の投資家は悲観的であり、かつ半数近くは「市場のタイミングを見計らうこと」が最善の投資戦略だと回答しているにもかかわらず、リバランスを実施する可能性は低い
- 前回調査時から日本の投資家の調査で最も顕著な変化は、今後3カ月における資産別投資意向 – 前回最も需要が多かったのは「現金や現金に近い投資・貯蓄」だったが、第4四半期では「ESG特化型資産」に変わり、特に女性(36%)の投資家が男性(28%)と比べて、ESG資産への配分が多い。
- 女性の投資家は男性よりも慎重 – 日本の男性投資家は女性よりも、今後12カ月間において高いリターンを期待する傾向がある一方、女性の投資家は同期間でリターンが変わらないと考える傾向がはるかに高い。調査回答者の今後12カ月間の期待が高くないことを考えると、日本の男性投資家は自信過剰バイアスに陥りがちな可能性がある
今回の調査は昨年12月、昨今の不透明な環境における投資家の機運を測るべく、オーストラリアや香港、シンガポール、台湾、日本(各国500人ずつ)の10万米ドル以上の投資可能な流動資産を保有している2,500人を対象に実施しました。このレポート全文はこちらからダウンロードできます。
バイアスについて 詳しくはhttps://japan.pimco.com/ja-jp/book-biases をご覧ください。
[1] 認知バイアスとは、人が情報を処理したり理解したりする時に起こる思考の一種です。経験則あるいは知的ショートカットとよばれるもので、素早く世の中の事象を理解し、結論を出すことが可能になります。
[2] 感情バイアス -その名の通り、衝動や直感などの感情的な要因に起因するバイアスで、認知や意思決定を歪めるものです。
[3] 自信過剰バイアス - このバイアスは、自分が人より優れ、実際よりも多くの情報を持っていると過信し、自分の能力を過大評価する場合に起こります。
PIMCOと行動科学
PIMCOは投資の意思決定に研究を応用する先駆的な運用会社として、人間の行動やそれが意思決定に及ぼす影響への理解を向上させるべく、数多くの取り組みを行ってきました。その一環として、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスの意思決定研究センターとの長期的なパートナーシップを通じて、行動科学の研究をサポートし、ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー博士を退職・行動経済学シニアアドバイザーに任命しました。
PIMCOは金融機関やアドバイザーに、顧客が潜在的なバイアスを理解し、発見できるよう、さまざまなリソースを提供してきました。詳しくは、https://japan.pimco.com/ja-jp/behavioral-science をご覧ください。
PIMCOについて
PIMCOは世界をリードする債券運用会社です。1971年に米国カリフォルニア州ニューポートビーチで設立されたPIMCOは、債券投資の世界にトータル・リターンのアプローチを取り入れました。それ以来50年にわたり日々刻々と変化する市場のなか、優れた洞察力と対応力を駆使して投資機会を見つけ出し、新たなソリューションを自ら創り出しご提供してきました。現在では世界各地に拠点をもち、3,000名以上の社員が、どのような市場環境においてもお客様からお預かりした資産を最大限に運用するという一つの使命に向かって邁進しています。PIMCOは、世界最先端の多角的金融サービス・プロバイダーであるアリアンツの子会社です。
ピムコジャパンリミテッドについて
PIMCOグループの日本におけるビジネスの拠点として1997年に設立され、1999年に投資一任業務、2000年に投資信託委託業務を開始、以来機関投資家・個人のお客様等へ向けて安定し付加価値のある資産運用サービスを提供しております。
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