PIMCO.comを離れる。

PIMCOのウェブサイトを離れようとしています。

Skip to Main Content
寄稿文

日本債券、超過収益機会が到来

日経ヴェリタスMarket Eye寄稿文(2024年3月9日付)に掲載。円債価値が上昇する中、日本の債券市場への投資を検討する際には、アクティブ運用に魅力があると考えています。

日本の債券利回りは大幅に上昇した。10年物国債の利回りは1.4%を超え、2010年以来の水準に達した。円建てで資産を保有する長期投資家は円債価値の上昇を認識すべきだ。現在のバリュエーションでは戦略的アセット・アロケーションにおいて円債をアンダーウエートすべき理由が見当たらない。

1月に日銀が0.25%の利上げを実施し政策金利は17年ぶりの水準の0.5%に達した。日銀は政策正常化への決意を改めて表明し、経済とインフレ、賃金の見通しに基づいて今後も金利を調整する意向を示した。

日本の経済見通しは改善している。マクロ経済データは日銀の予測に沿った内容で、2025年は賃金の底堅い伸びが予想されており、国内消費を支えるだろう。ピムコでは日本の25年の国内総生産(GDP)成長率を1%前後と予想し、ほぼゼロ成長だった24年から回復を見込んでいる。インフレ率は日銀が目標とする2%前後と予想している。インフレ期待は過去20年のデフレ期よりも高い水準で固定され、賃金の高い伸びがサービス価格を上昇させるだろう。

このマクロ経済を背景に日銀は25年末までに政策金利を0.75%に引き上げ、金融緩和を縮小するとPIMCOでは予想している。現在の市場に織り込まれている予想とほぼ同じだ。名目利回りとインフレ率の差である実質利回りが大幅なマイナスであることから、日銀は26年も利回り上昇に向けて正常化プロセスを継続すると予想される。

一方、米国の関税政策が世界経済に与える影響について、不確実性が高まっている点に留意する必要があり、世界経済の下押しリスクになる可能性がある。ピムコの基本シナリオでは米国の関税引き上げは貿易相手国にとって経済的に対処可能だとみているが、長期的な貿易不均衡の是正を目的により大胆な政策がとられた場合には世界経済や金融市場は混乱しかねない。

トランプ政権が検討中の相互関税は米国から日本への輸入品と日本から米国への輸出品の税率の差に鑑みると日本経済へのマクロ的影響は限定的だろう。だが米国が輸入車に高関税を課すなどの政策がとられ、日本も対象国となった場合は大きな逆風になる可能性がある。

日銀が政策正常化を続け、利回り水準が総合的に上昇するにつれ、世界および米国市場の変動に対する日本の金利の感応度は高まると見込まれる。前述のダウンサイド・リスクと現在の市場バリュエーションを踏まえると、世界の債券利回りは安定ないしやや低下基調になると予想され、日本の債券利回りの上昇抑制につながる。

日本の債券市場への投資を検討する場合、アクティブ運用に魅力があると考えている。進行中の政策調整と市場の正常化は、市場ボラティリティー(変動率)を高水準に維持し、魅力的な超過リターンの機会をもたらすはずだ。

日本国債の最大の保有者である日銀が保有残高の削減を続けているため、日本国債の主要な投資家は非営利的な買い手(日銀)から民間投資家に移ることになる。これは日本債券や円金利スワップなどの国内金利市場における様々な相対的投資機会をもたらすだろう。

また円建て社債市場は適正水準にあるように見える。日本国債に対するスプレッドは歴史的に見て、引き続き適度に魅力的な水準にある。日本国債の利回り上昇に伴い絶対利回りの水準が上昇するなか、社債セクターはさまざまな投資機会をもたらす。世界のマクロ経済見通しと金融政策見通しの不確実性が高まっていることから、ダウンサイド・リスクを抑えながら超過リターンを確保するにはセクターと発行体の峻別(しゅんべつ)がとりわけ重要になろう。

今後も日本債券市場に変動が予想されるなか、日本債券投資においてもグローバルな視野を持ち、国内の超過リターンを効率的に確保できる運用会社がリスク調整後ベースで優れた投資成果をもたらすとピムコは考えている。

著者・出演者

場所を選択


Americas

Asia Pacific

  • Japan

Europe, Middle East & Africa

  • Europe
Back to top