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経済・市場コメント

欧州データセンターへの投資機会

日経ヴェリタス9月22日号 「Market Eye」に掲載されました。

「Siri(シリ)」や「Alexa(アレクサ)」などの音声アシスタントからオンラインストアのパーソナライズされたお勧め商品まで、いまや人工知能(AI)は日常生活に欠かせない。AIやクラウドサービスの需要増大を背景に、世界的でデータセンター容量の争奪戦が起こっている。

ピムコの最新の不動産見通しでは、デジタル化と電子商取引のトレンドにけん引された魅力的な投資機会として、データセンターに注目している。AIプラットフォームの供給者に投資することは、投資家にとってAI技術の最終的な勝者に賭けたり固有リスクを負ったりすることなく、AI需要の恩恵にあずかることができる絶好の投資機会だと考える。

調査会社のデータセンター・ホークによれば、2024年第1四半期の世界のデータセンターのリース契約量は1,800メガワットを超え、わずか3年前から7倍以上に増加している。

24年第1四半期の企業決算では、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、アルファベットを含む大手テック企業は、単独製品としても、2桁の伸びを見せているクラウドサービスへの追加需要としても、AIが主な成長要因だと強調した。

AI主導のデータセンター容量の需要には、主にAIトレーニングとAI推論の2種類がある。AIトレーニング施設は、「OpenAI GPT-4」など生成AIモデルの大規模データの訓練に使われる。モデルが高度化するにつれ、データセンター容量の需要も高まる。AI推論用の施設は、実際にAI機能を消費者や企業、政府に提供することを目的としている。

現時点でデータセンターの契約の大半はAIトレーニング施設に集中しているが、今後18~24ヵ月はAI推論用の「ハイパースケーラー(大規模データセンター)」の構築が増えると予想している。データセンターの成長に減速の兆しは見られず、建物単体ではなく敷地全体の契約を結ぶテナントもある。

これに拍車をかけているのが、各国政府による「デジタル主権」、すなわちデータの保存・処理、データの種類、ソフト・ハードを管理する権限を求める動きだ。欧州のデータの70%超がいまだに海外(主に米国)で保存されている中で、デジタル主権はデータの「ニアショアリング(近隣国へのアウトソーシング)」を促し、欧州でのデータセンター開発への需要を高めるだろう。

とはいえ短期的には、フランクフルト、ロンドン、アムステルダム、パリ、ダブリンなどTier1のデータセンター市場では、送電の制約により容量拡大が益々難しくなりつつある。 既に一部のハイパースケーラーは、作業負荷をTier1市場からマドリードやミラノ、ベルリンなどTier2、Tier3市場に戦略的に移管している。これらの都市は電力の制約が少なく、再生可能エネルギーが利用しやすい場合が多い。

Tier2、Tier3市場は、レイテンシー(データ転送の遅延時間)を短縮し、デジタル主権にも対応できるメリットもあるため、長期的にTier1市場を上回ると予想されている。

さらに、欧州連合(EU)が推進する「デジタルの10年」戦略を背景に、Tier2、Tier3市場へのデータセンター移管を各国政府が強力に支援していることも追い風だ。各国政府は主要デジタルインフラへの支援の重要性、国内投資の価値、データセンターが社会・経済にもたらす長期的な好影響を理解している。

ピムコは、データセンターに長期的な成長テーマを見出し、米欧市場、特に欧州のTier2、Tier3市場に注力して債券・株式に投資している。データセンターの運用について経験を持つ運用チームが欧州全体の広範な資本へのアクセスと不動産に関する知見を提供している。

データセンターは高度に専門化されたセクターであり、投資機会をとらえるには強力な運用チームが求められると考える。

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