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運用戦略

プライベート・クレジットの新境地

日経ヴェリタス 12月15日(日)Market Eye 寄稿文

世界中の投資家からアセット・ベースド・ファイナンス(ABF)への関心が高まっている。急成長しているプライベート・クレジット(ファンドによる融資)分野で、魅力的で一貫したリターンの源泉を様々な資産が提供する。

アセット・ベースド・レンディング(ABL)やスペシャルティ・ファイナンスとも呼ばれるABFは、伝統的な社債や商業用不動産デット市場の領域外で発生する、資産を担保としたプライベート(非公開)の融資を指す。多くの場合、実物資産が担保として裏付けられている。住宅ローン、クレジットカードなどの消費者関連ローン、設備機器リースや航空機リースなどの非消費者関連ローンにおいて世界経済に資金を供給している。

ABF市場の成長はめざましく、PIMCOの推計では、2024年6月30日現在、米国のABF市場だけで20兆ドル超(約3000兆円)にのぼる。

急拡大は主として世界金融危機後の規制強化や会計基準の変更に伴い、銀行がバランスシート上に保有する特定の融資が制限されたことによる。多くの質の高いABF資産が伝統的な銀行から民間の貸し手にシフトしつつあり、投資に適した確たるエコシステムが生まれている。

PIMCOは最近、バランスシートの最適化を模索する欧州のある大手銀行から9億1,000万ポンド(約1兆7291億円)の英国の住宅ローン・プールを取得した。主な構成は3、4年が経過した固定金利型の自宅用住宅ローン債権で、通常、年収11万5,000ポンド(約2,185万円)の信用力の高い借り手向けだ。

伝統的な銀行が資産担保融資から撤退し続けるなか、ABFの投資機会は魅力を増している。競争が少なく参入障壁が高い環境下で、新たな融資の組成、資産売却、リスク移転の機会が存在するとみている。

米国、ユーロ圏をはじめ先進国市場で金利低下が予想される中、ABFは変動金利と固定金利の組み合わせのメリットを享受できる。当然ながら、ABFが景気後退の影響を全く受けないわけではない。だがPIMCOではABFの多くのセクターを前向きに評価し、特に住宅ローン、デジタル・インフラ、航空機ファイナンスに注目している。

生成AI(人工知能)は市場の急拡大を牽引し、成長を支えている。半導体とネットワーク容量の供給制約に加え、こうしたデジタル・インフラに必要な莫大な設備投資が、ABFに魅力的な投資機会をもたらしている。ABFでは、AI技術の勝者に賭けずとも、また特異なリスクを取らずとも、AIの成長に乗じることができる。

航空機ファイナンスでは世界中の航空会社への新規ないし機齢中期の機体リースがある。コロナ禍後、航空輸送量が回復する中、航空会社が輸送能力の向上を求めている現在、投資を開始するのに魅力的なタイミングだとみている。燃費効率のよい新型機の需要は旺盛だが、製造の遅れと供給網の問題により需給に長期的な不均衡が生じている。一方で伝統的な資金調達源には制約がある。

投資家がABFに魅力を感じる理由はいくつかある。第一に、実物資産を担保とする特性から、負債比率の高い企業に資金を供給するプライベート社債市場に比べて構造的に強い保護機能を提供する。第二に、ABFは、企業に特化したプライベート・クレジット・エクスポージャーの補完、分散手段になる。担保資産が多様なだけでなく、融資プロファイルが固定金利と変動金利の組み合わせであることによる。この分散により、リターンの相関性を引き下げ、価格の下落に対する保護を提供できる。第三に、ローンのキャッシュフローが前倒しで償却されるABFの特性が安定的な利息収入をもたらす。企業向け融資と異なり、ABF投資のキャッシュフローには元本と利子を含むことが多く、時間が経過するにつれて残高は自動的に減り、リスクが軽減されることになる。投資家には、ABFは検討に値する魅力的な機会だと考えている。

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