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オルタナティブ市場展望

プライベート・クレジット:変わる融資環境、存在感増すアセット・ベースド・ファイナンス

銀行主導の融資から、多様な資金提供エコシステムへの移行が、プライベート・クレジット投資家に前例のない投資機会をもたらしています。

主な結論

  • アセット・ベースド・ファイナンスは、PIMCOの最も確信度の高い投資テーマの1つで、市場規模は20兆ドルを超えています。幅広い分野に及びますが、主要なセクターとして、住宅ローン、米国の消費者ローン、航空機ファイナンス、データインフラが挙げられます。
  • 銀行は今後もより制限的な環境で経営を迫られるため、追加の資本提携先を探し、バランスシートに載らない融資の代替案を優先することになるだろうと予想しています。
  • このように進化する市場は、参入障壁が高く、高度な専門知識が必要なことから、態勢が確立された投資家には競争上の優位が生まれます。

銀行が自己資本規制比率の見直しにあわせて、バランスシートの最適化を模索する中、アセット・ベースド・ファイナンスが、従来のダイレクト・レンディングに代わる魅力的な選択肢になっています。実物資産を担保に投資する同セクターは、主要分野における基盤となるトレンドによって強化されています。

1つは米国の消費者の強さであり、家計のバランスシートが堅固で、住宅所有者の自己資本が高いことです。もう1つがデータセンターへの投資で、クラウド・コンピューティングや高度なデータ処理に対する需要の高まりを背景に、投資が加速しています。

世界金融危機以降、銀行は、規制の強化や融資会計の見直し、急ピッチの金利上昇など、相次ぐ課題に直面してきました。金利はようやく反転し始めたところです。こうした要因は、自己資本規制比率に影響を及ぼし、融資のコストを押し上げたことから、多くの銀行はバランスシートの縮小に乗り出し、特定のタイプの融資を優先し、リスク軽減に力を入れるようになりました。

バーゼルⅢの規制の枠組みは、世界金融危機に対応して、銀行の監督とリスク管理を強化するために開発されました。2023年3月の地方銀行危機を受け、銀行は厳しい環境に置かれています。米国の次期政権が規制を緩和する可能性があるとしても、特に地方の大手金融機関は苦戦すると予想しています。規制当局は、米国ではバーゼルⅢエンドゲーム、世界的にはバーゼルⅣとして知られる枠組みの改定を検討しており、これにより自己資本規制比率が高まる可能性があります。

新たな規制が明確になるのを待つ中、銀行(そして重要な点として、銀行の株主)が重視しているのが、長期的で安定した収益性です。長期的な収益の安定を図るため、銀行は資本費用の高い融資や、収益の変動を高める融資の割合を減らしています。これにより銀行は、戦略的資本やバランスシートに載らない代替的な融資手段を提供する、バランスシート上の追加的なパートナーを探すよう促されています。

こうした混乱は、アセット・ベースド・ファイナンス(ABF)の市場全般でプライベート・キャピタルに投資機会をもたらしています。特に非公開のコーポレート市場と比較した場合、ABF市場は開始時のバリュエーションが魅力的で、ファンダメンタルズが良好です。信用力の低い非公開の企業クレジットで多額の資本形成が行われていることを考慮すると、今日の投資家はABFに、リスク対比でより良い収益を見い出すことができると考えられます。

アセット・ベースド・ファイナンスは最近増えてきたたように見えるかもしれませんが、実は、15年前の銀行セクターのレバレッジ解消から始まった長期的な変化の一部です。 PIMCOは、このトレンドの最前線に立ってきました。最近の関心の高まりは、この資産クラスの成長ポテンシャルが広く認識されるようになったことを反映しており、従来の企業に偏ったクレジット配分以外に、インカムの源泉の分散を求める投資家ニーズの高まりと一致しています。

プライベート・キャピタルは現在、銀行との協力体制を推進しており、魅力的なリスク調整後リターンの創出を模索しながら、ソリューションを提供しています。こうした協働は、次のような、さまざまな形を取りえます。ポートフォリオの売却、銀行が顧客との関係を維持できるパートナーシップでの新規オリジネーション、銀行がバランスシート上のリスクを他の投資家に移転する証券化手法の一種である、シンセティック・リスク・トランスファー(SRT)等です。

アセット・ベースド・ファイナンス:PIMCOのプライベート・クレジットの投資の中で最も確信度が高いテーマの1つ

アセット・ベースド・ファイナンスは、スペシャルティ・ファイナンスやアセット・バックド・レンディングとも呼ばれます。銀行を取り巻く環境が変化する中で好調なトレンドに支えられ、また、あまり過密状態にはない魅力的な資産クラスです。PIMCOでは、(商業用不動産融資を除く)アセット・ベースド・ファイナンスの市場規模を20兆ドル以上と推計しています。

アセット・ベースド・セクターは、消費者関連及び非消費者関連ともに、特に企業融資に比べて、プライベート市場の投資家に魅力的な投資機会を提供しています(詳しくは、9月の短期経済展望「ソフトランディングを見据えて」をご覧ください)。住宅ローン、個人ローン、学生ローンなどの消費者向け融資は、長期的なファンダメンタルズが良好で、魅力的な価値を提供しています。その背景として、特に世界金融危機後の米国の家計のバランシートがはるかに健全であること、そして住宅市場が引き続き堅調であることが挙げられます。航空機ファイナンスやデータインフラなど、長期的に恩恵の大きいセクターについても高い確信を持っています。

PIMCOの確信を支えているのは、さまざまな資産タイプの案件を発掘、分析、組成、資金提供、および管理するために確立されたプラットフォームです。参入障壁が高いため、投資を成功させるためにはバリューチェーン全体を深く掘り下げるインフラが必要だとPIMCOでは考えています。

今日のアセット・ベースド・ファイナンスにおいて、PIMCOの確信度が最も高い投資領域は以下のとおりです。

  1. 住宅ローン:住宅ローン市場は、アセット・ベースド・ファイナンスの投資機会の中で最大の構成要素です。米国および英国の住宅市場での債務比率が過去のトレンドよりも低い等、いくつかの有力なトレンドに支えられています。しかし、サブ・マーケット全体で価格が上昇し、在庫が少ない中、今の景気サイクルの時点では、引き続き適正で手頃な住宅価格に注目しています。世界金融危機後の規制の厳格化を受けて、自営業者、不動産投資家、非居住者など、標準的な融資プログラムの要件を満たしていない借り手を対象とする非適格住宅ローン(非QM)が、米国の住宅市場の成長セクターになっています(図表1を参照)。こうしたローンでは、クッションの役割を果たす潤沢なエクイティが追い風になっています。融資比率(LTV)が比較的低く、引受基準が厳格化されており、ミレニアム世代の需要が強い反面、供給が不足しているため住宅価格が強含んでいることが背景にあります。住宅ローン金利が高止まりする可能性があり、低金利で借りた住宅所有者が転居を控えることから、PIMCOではセカンダリー市場に魅力的な投資機会を期待しています。

図表1:非適格住宅ローンは2016年以降、急速に増加

出所:JPモルガン、2024年9月9日現在。説明のみを目的としたものです。ここで示された見解はPIMCOによるものです。本資料内で説明された傾向が継続する保証はありません。
  1. 米国の消費者ローン:住宅ローン以外の消費者ローンには大きなチャンスがあります。個人ローン、学生ローン、クレジットカードの売掛金など、米国の家計債務は17兆ドルを超えています。金利上昇にもかかわらず、家計のバランスシートは依然として堅固です。近年、返済負担率は低下し、純資産は過去最高水準に近づいています(図表2を参照)。米国の住宅ローンの約95%が固定金利であることを主な背景に、債務返済費用は過去のトレンドに比べても低位にとどまっています。

    延滞率の上昇は、米国の消費者の脆弱さの表れと見なされることがよくありますが、すべての米国の消費者が似たような信用プロファイルを持っているわけではありません。延滞率はサブプライム・セグメントでは大幅に上昇していますが、プライムとニア・プライムのカテゴリーは、新型コロナ以前の水準に正常化しています。さらに、信用力の低い多くの消費者は、パンデミック期の学生ローンの返済猶予や財政刺激策により、FICOスコア(信用スコア)が一時的かつ人為的に上昇しており、それ以後、延滞率の上昇につながっています。PIMCOの大規模かつ詳細な米国消費者信用データベースは2005年まで遡り、推定350億から400億の匿名化されたデータ・ポイントを網羅しています。景気サイクルを通して消費者行動を理解し、最も魅力的なローン・プールを特定するのに役立っています。

図表2:家計のバランスシートは依然堅固で、債務返済費用は比較的低い

出所:ゴールドマン・サックス、セントルイス連銀、JPモルガン、ブラック・ナイト、ゴールドマン・サックス・グローバル・インベストメント・リサーチ、2024年1月1日現在。説明のみを目的としたものです。本資料内で説明された傾向が継続する保証はありません。
  1. 航空機ファイナンス:このセクターでは、資本ニーズが拡大し続けています。原資産の調達とサービシングの障壁は依然として高く、担保自体のファンダメンタルズは良好です。航空業界は、パンデミックとロシア・ウクライナ紛争による大きな困難に直面してきました。しかし、2,500億ドルの債務を引き受けた後、コスト削減と、旅行需要の増加に対応した輸送能力の拡大に注力した結果、実際に乗客を運んだ規模を示す「有償旅客キロ数(RPK)」が新型コロナ前の水準を上回り、航空会社は黒字に戻りました。機体製造では、生産上の問題があり、受注残が中々解消されないことから、新型機の入手が難しくなっています。2019年から2023年にかけて、相手先ブランド供給(OEM)の機体の納入数は、受注数を35%(4,200機)下回りました(図表3を参照)。こうした需要と供給の不均衡が拡大する中、新型機と機齢中期の機体のリース料は、魅力的な利回りとインカムの可能性を提供すると考えています(詳細については、「航空機ファイナンス:プライベート・クレジットの機会を捉える」をご覧ください。

図表3:エアバスとボーイングは、2019年以降、納入実績が目標を下回っている

出所:Cirium、ボーイング、エアバス。2023年12月31日現在。
  1. データインフラ:接続性の向上、クラウド・コンピューティングの採用、大規模言語モデル、生成AI技術の急速な進化を背景に、データセンターの需要は急増しており(図表4を参照)、資本の供給が追いついていません。データセンターにしろ、高性能GPU半導体にしろ、企業は堅牢なインフラを必要としており、これには多額の資本が必要です。こうした市場での銀行の実績は非常に限られており、特に最新の半導体チップの購入を検討する企業向けの融資においてはそう言えます。PIMCOでは、半導体チップ、ネットワーク・インフラ、顧客契約から得られる契約上の将来のキャッシュフローを含めて、裏付けとなる担保から利益を得られるオーダーメイドの資金調達ソリューションを開発する機会を数多く見出しています。

図表4:AIは大規模な投資サイクルを牽引する可能性があり、それにはデータインフラが必要

出所:ゴールドマン・サックス・グローバル・インベストメント・リサーチ、2024年4月2日現在。

相対価値の重視は、プライベート・クレジットにおいて最も重要。

いくつかのセクターで資本需要が供給を上回っていることから、投資家はプライベート・クレジットへの分散アプローチの恩恵を受ける立場にあります。これまでのサイクルを通じて、一部の市場では価格の暴騰を何度も目にしてきました。PIMCOでは、バリュー・トラップ(割安の罠)を回避するため、常に相対価値の観点からみています。大規模な資本形成や、まだ試されたことのない隠れたリスクを考慮して、一部のセクターには慎重にアプローチすることが重要だと考えています。そうしたセクターの一部を以下でご説明します。

  1. 音楽著作権:アセット・ベースド・ファイナンス内の新興セクターの1つが音楽著作権で、リターンに景気との相関性がない点から注目を集めています。しかし、一部の注目度の高い案件で評価倍率(マルチプル)が拡大し、バリュエーションが驚異的な水準になる中、同セクターの特化型の資本は全般に価値を下げているとみています。音楽著作権は、高い経常収入をもたらしますが、PIMCOでは引き続き案件を厳選し、収益化されていない資産を持つ小規模なカタログに力を入れています。(ミキシング・エンジニアなど)あまり知られていない業界関係者からカタログを取得する機会もあり、大幅な割引価格で同水準のキャッシュフローを提供できる可能性があります。
  2. シンセティック・リスク・トランスファー(SRT):過去15年間、銀行はバランスシート上の信用リスクを管理するため、主に欧州でSRTを頻繁に発行してきました。2023年まで、米国ではこうした取引が顕著に欠けていましたが、米国市場は急速に進化し、2024年は記録的な取引が行われました。特化型資本の流入により、米国のSRT市場のバリュエーションは大幅にタイト化しています。SRTは、銀行がオリジネートした質の高いクレジットに効率的にアクセスする手段を提供しますが、PIMCOではSRTを独立した資産クラスとは考えていません。むしろ、投資家が、住宅用不動産や商業用不動産、消費者関連分野、企業資産など、裏付けとなる担保のエクスポージャーを確保できる数多くの手段の1つだと考えます。SRTは、ローン全体ではアクセスしにくく、割高な水準で取引されている、または取引規模が小さい場合に、特定の資産クラスにアクセスできる、魅力的な手段だと言えるでしょう。PIMCOでは、相対価値の変化に伴い、あるいは銀行の自己資本比率などの戦略的ファクターが価格設定に影響を与えるのに伴い、SRTと他の形態を常に見直す戦略を取っていきます。
  3. 新規の消費者ローン商品:個人ローン全般について引き続き前向きな見方をしていますが、後払い決済(BNPL)ローンの購入など、新興の短期商品はまだ成熟途上にあると考えています。BNPLローンは、全額を前払いすることなく製品やサービスを購入できるため、顧客に財務上の柔軟性を提供します。しかし、オリジネーションの実務に関して、PIMCOでは限られた知見しか持ち合わせていません。活動中の多くのオリジネーターは、完全な引受を行っておらず、信用調査機関と報告を共有していないためです。消費者ローン投資に対するPIMCOのアプローチは、きめ細かな引受に重点を置いており、分析を進めるために広範なローン・レベルのデータセットが必要です。

楽観的見通しと慎重な評価のバランス

アセット・ベースド・ファイナンスに長年投資してきたPIMCOは、このセクターの進化する投資機会に期待を寄せています。かつて銀行が支配していた市場は、より多様な資金供給エコシステムに変わりつつあります。歴史的に証券化市場もその一部に含まれますが、次第にプライベート・レンダーの関与が増えています。プライベート・クレジットに資産配分を検討している投資家にとって、こうした変化は、過去10年で最も魅力的な機会の1つになっています。

しかし、こうした楽観的見通しは、規律によって行き過ぎを防がなくてはなりません。アセット・ベースド・ファイナンスでは、分野によってファンダメンタルズやバリュエーションが異なる点に注意する必要があります。特に担保価値が不透明なセクターや文書化が杜撰なセクターは、クレジットのパフォーマンスが損なわれる可能性があります。

PIMCOでは、社内のオリジネーション(組成)・プラットフォームで生み出されるさまざまな投資機会に対して、引き続き相対価値重視のアプローチをとっています。数十年にわたるデータセット構築への先行投資、分析フレームワーク、マクロ経済の洞察を活用することで、PIMCOは引受業務とポートフォリオ構築において厳格な規律を維持するよう努めています。パブリック市場とプライベート市場でのPIMCOの成功を牽引してきたのと同じ原則は、アセット・ベースド・ファイナンスの未来を切り拓くうえでも必要不可欠です。


補論:アセット・ベースド・ファイナンスでは、PIMCOの複数のオリジネーション・チャネルを通じて案件を発掘する際に、相対価値を活用する必要があります。

プライベート・レンダーは、アセット・ベースド・ファイナンスのオリジネーションにさまざまなアプローチを採用しています。特定のセクターに的を絞るものもあれば、オリジネーション・プラットフォームを所有することでキャプティブ・ソーシングを重視するものもあり、セカンダリーマーケット全般でオポチュニスティックなアプローチをとるものもあります。

PIMCOのオリジネーション戦略では、独自のプラットフォームを活用して、あらゆるセクター、取引構造、チャネルで投資機会を発掘しています。実際に、この資産クラスへの投資を成功させるには、相対価値を優先し、銀行とノンバンク両方のオリジネーション・チャネルを活用する必要があると考えています。このアプローチにより、銀行ポートフォリオの売却、フォワードフロー契約、そして高度に構造化されたリスク移転取引を活用することが可能です。

PIMCOでは、概説したすべての担保タイプについて、担保の健全性と取引構造に応じて、さまざまなリスク・プロファイルで案件を発掘することが可能です。オリジネーション・プラットフォームを所有することは、特定の資産タイプにとっては最適な資金調達戦略になる可能性がありますが、すべてに適用できるわけではありません。例えば、世界金融危機以降、住宅ローンのクレジット市場は、キャプティブ・オリジネーション・モデルを超えて進化したとPIMCOでは考えています。逆に、航空機ファイナンスなどのセクターでは、ローンやリースを通じてさまざまな金融商品にアクセスするためには、キャプティブ・オリジネーションが重要です。また、PIMCOでは、投資するあらゆるセクターに統一的なアプローチを適用することを目指しています。商品の質、機会の拡張性と耐久性、リスク調達の代替的な方法全般について、潜在的なオリジネーション・パートナーを評価することにより、さまざまな組成方法を体系的に比較します。

PIMCOのプラットフォームは、相対価値を重視し、投資家とのインセンティブの整合性をしっかりとりつつ、アセット・ベースド・ファイナンスのスペクトラム全般にわたる投資機会へのアクセスを提供します。

PIMCOのオルタナティブ・ソリューションの詳細については、pimco.com/jp/ja/alternativesをご覧ください。

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