パッシブ運用とは、特定の市場指数の変動と連動した投資収益を目指 した運用スタイルです。現代投資理論では、すべての証券は市場で効 率的に取引されていることが仮定されることがあります。そのような場 合、効率的なポートフォリオの投資収益は市場指数の投資収益と等し くなります。パッシブ運用では、市場指数を構成する銘柄を構成比率と 同じだけ保有する運用スタイルと、該当銘柄の流動性や資金量などの運 用制約によって、より少ない銘柄数で市場指数に追随することを目指す運 用スタイルがあります。前者の運用スタイルは、インデックス運用とも呼 ばれることがあります。後者のような運用の場合、保有銘柄が目標とす る市場指数と一致しないことによる収益の誤差が生じることがありま す。このような、収益誤差の標準偏差(統計上のばらつきを表す数値) をトラッキング・エラー(アクティブ・リスク)と言い、市場指数への追随 度の指標のひとつになっています。
パッシブ運用の利点と欠点
パッシブ運用は、市場指数を構成する銘柄や構成比率が変更されない 限り、ポートフォリオの構成銘柄の入れ替えをせず、保有銘柄を持ち切 る運用スタイルのため、取引コストが少なく抑えられたり、保有している 個別銘柄の詳細な調査や分析の必要がなかったりするため、運用手数 料が低く設定される傾向にあります。
一方で、市場に非効率性が生じた場合、そのような市場の非効率性によ る収益が獲得しにくくなります。また、市場指数の構成銘柄の入れ替え によって、パッシブ運用が大量に入替対象銘柄を売買することで、自身 の投資行動が市場の非効率を生む要因になりうるとの意見もあります。