証券化商品セクターの概要
証券化商品は裏付けとなる資産の種類により、下図のように分類されます。
米国においては、過去30年間で証券化商品の市場規模は飛躍的に 拡大しました。米国では、住宅ローンの貸付を行う金融機関は、住 宅ローンの貸出し債権からは固定金利で利益を得る一方、資金調 達は短期金利により行っていました。1980年台初頭の高金利時代 において、短期金利の上昇により資金調達費用が増加する一方で、 利益は固定金利のため増加せず逆鞘となってしまうケースがみられ ました。こういった事情を背景に、積極的に住宅ローンを売却また は証券化して資金を回収し、その資金を高金利での運用に充てると いう需要が高まったことがMBS市場発展の理由の1つとして挙げら れます。また、2000年代半ばには、低中所得者層に対する住宅政策 推進と金融技術の発達という環境のなかで、格付対比で高いリター ンを得られる運用対象として、非政府系MBSや再証券化商品(証券 化商品を担保として再度証券化した商品)が一部投資家の間で人気 となり、発行額が急増しましたが、2008年の金融危機を経て新規 発行が大幅に減少し、規模は縮小しました。
2020年12月末における発行残高は12.8兆ドル(MBS:11.2兆ド ル、ABS:1.5兆ドル)と米国の債券全体の約25%を占め、米国債に 次ぐ市場となっており、重要な位置を占めています。