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シリーズ1:債券-前編

デュレーションとは

概要

デュレーションは、金利変化に対する債券の価格感応度を示す値で、債券投資におけるリスク指標です。

デュレーションは、金利の変化に対する債券もしくはポートフォリオの価格感応度を示す値(単位:年)で、債券投資において広く用いられるリスク指標です。デュレーションは、債券の価格、クーポン、最終償還および繰上償還条項に基づいて算出されます。修正デュレーション(modified duration)は、代表的なデュレーションの計算方法で、利回り1%の変化に対して債券価格がどのくらい変化するかの割合を示します。

修正デュレーション2年の債券価格と修正デュレーション5年の債券価格

上記に示されるように、デュレーションが長いほど、債券は金利変動に対して感応度が高くなり、結果、債券価格の変動がより大きくなります。

修正デュレーションの他に、債券投資において一般に用いられるのが実効デュレーション(effective duration)です。実効デュレーションは、債券に付随するオプションの影響を加味し、市場金利の変化に対する債券価格の変化の感応度を表します。

なお、債券ポートフォリオ全体のデュレーションは、ポートフォリオで保有する全ての債券のデュレーションを時価加重平均したものと考えられます。かつては、債券ポートフォリオ保有銘柄の平均残存期間が、金利水準の変化に対するポートフォリオのリスク指標として用いられていました。しかし、平均残存期間の欠点は、債券が償還される一時点しか考慮していないことにあります。債券価格は基本的に、将来の償還までに得ることのできる元利払い(キャッシュフロー)を直近の金利で割り引き、現在価値に引きなおしたものと考えられるため、元本償還のみならず、償還までに支払われる全てのクーポンについてもキャッシュフローとして認識する必要があります。将来得ることのできるキャッシュフローを現在価値に割り引くための金利が上昇すれば債券の価格は下がり、逆に低下すれば債券の価格は上がる、ということになりますが、そうした金利水準の変化に対して債券価格がどの程度変化するか、という指標がデュレーションです。ただし、この場合、金利の変化については、全年限の金利が同じ幅で上昇ないし低下する平行移動を想定します。

債券運用におけるデュレーションの利用

債券運用では、経済環境の変化予測にデュレーションを対応させて利用し、これによってポートフォリオ・マネージャーは、ポートフォリオの最適化を図ります。

債券運用におけるデュレーションの利用

デュレーションの限界

ポートフォリオ構築においてデュレーションは重要なツールですが、同じデュレーションのポートフォリオが必ずしも同じリターンを生み出すとは限りません。異なる償還期限を持つ国債の利回りの動きは必ずしも一致するとは限らないことがその理由です。イールドカーブ(縦軸に利回り、横軸に償還までの期間を示した曲線)上のどの残存期間部分に投資ウェイトをおくかに応じてリターンは変わってきます。例えば、デュレーションが5年の債券のみを保有するポートフォリオA(ブレット戦略)と、デュレーションが2年と8年の債券を50%ずつ保有するポートフォリオB(バーベル戦略)は、ともにデュレーション5年のポートフォリオです。デュレーションが8年の債券の利回りが大きく上昇する一方、デュレーションが5年の債券の利回りが小幅な上昇であった場合、ブレット戦略ポートフォリオのリターンは、バーベル戦略ポートフォリオに比べて高くなります。

ブレット戦略とバーベル戦略

*オプション:モーゲージ債など繰上償還権(コールオプション)付債券の場合、金利が低下すると繰上償還が行われやすく(=コールオプション行使)、この債券を保有するポートフォリオ全体のデュレーションを短期化させる要因となります。反対に、金利が上昇すると繰上償還が実施される可能性が後退するため、ポートフォリオのデュレーションを長期化させる要因となります。

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