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シリーズ1:債券-前編

債券の定義

概要

債券とは、債券購入者による債券発行体に対する融資に他なりません。債券の定義をご説明します。

債券とは、債券購入者、すなわち債券保有者による債券発行体に対する融資に他なりません。各国政府や企業、地方自治体などは債券を発行することによって必要な資本を調達します。投資家が国債を購入した場合、それは政府に対する融資に相当しますし、企業が発行した債券を購入した場合はその企業に対する融資に相当します。ローンと同様に、債券の場合も定期的に利息が支払われ、規定された期日に元本が返済されます。

ある企業が新工場の建設用資金として100万ドルを必要としており、債券を発行してその資金を調達することにしたと仮定します。この企業は必要な資金を調達するために、投資家に対して1,000ドルを1単位とする債券を1,000単位販売するとします(1,000ドル×1,000単位=100万ドル)。この場合、この1,000ドルが各債券の「額面価値」となります。資金を調達する企業は当該債券の「発行体」と呼ばれ、年間の支払利息、すなわち「クーポン」と、調達した100万ドルの元本を返済するまでの期間を決定します。クーポンを決定するにあたり、発行体はその時点の金利環境を考慮して、比較対象となる他の債券に対して競争力があり、投資家にとって魅力ある水準にクーポンを設定します。上記の企業は年間のクーポンが5%で期間5年の債券を発行することに決めたとしましょう。5年の期間が満了すると、債券は「満期」を迎え、発行体である上記の企業は各債券保有者に対して、保有する債券1単位あたり額面価値1,000ドルを償還します。投資家にとって、債券が満期を迎えるまでの時間の長さは、予想されるリスクや潜在的なリターンを決定づける重要な要因になります。一般的に、5年後に償還される100万ドルの債券は30年後に償還される同額の債券よりもリスクが低いと考えられます。これは、債券が満期を迎えるまでの期間、すなわち残存期間が長くなるほど、債券保有者に元利金を支払う発行体の能力に悪影響を与えうる要因が多くなると考えられるためです。

残存期間が長くなることで増加するリスクは、発行体がその債券に対して支払う利息、すなわちクーポンと直接の因果関係を持ちます。言い換えると、発行体は通常、満期までの期間が長い債券に対して高い金利を支払います。したがって、投資家の観点からすると、残存期間が長い債券ほど高いリターンを得られる可能性が高くなります。しかし一方で、高いリターンを得られる可能性と引き換えに、投資家が負うリスクも高くなっているのです。

また、すべての債券には発行体が「デフォルト」するリスク、すなわち発行体が借り入れた資金の元利金の支払いがなされなくなるリスクがあります。そこで、独立した信用格付機関が、数多くの債券発行体のデフォルト・リスクを評価し、信用格付を公表しています。この信用格付は投資家がリスクを評価する際に役立つだけでなく、発行体が個々の債券の金利を決定する際にも役立つものです。通常、格付水準の低い発行体が支払う金利は、格付水準の高い発行体が支払う金利よりも高くなります。この場合、投資家の観点からは、格付水準の低い債券を購入することで高いリターンを得られる可能性を得られる一方で、高い格付の債券を購入する場合に比べて高いデフォルト・リスクを負うことになります。

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