概要
インフレ時に価格が上昇する資産もあります。インフレの負の影響を相殺できる可能性のある資産とは。
債券と異なり、インフレ率の上昇時に価格が上昇する資産もありま す。こうした資産の価格上昇により、インフレによるマイナス効果を 相殺できる可能性があります。
- 超長期的に見た場合、株式はしばしばインフレに対抗する優れた 投資対象とされてきました。それは、インフレ環境において企業 は、コストの上昇を製品価格に転嫁することができるためです。 製品価格の引き上げは収益増加につながる可能性があります。し かし、短期的には株価とインフレの相関が負となることも多く、特 に予想外にインフレが台頭した場合に株式は悪影響を受ける可 能性があります。インフレ率が予期せぬ形で突然上昇すると、経 済に対する不安感が高まる可能性があり、これが企業収益見通 しの下方修正につながり、結果株価が下落します。
- 一般的に商品価格は、インフレと歩調を合わせて上昇します。商 品先物には、予想される将来の商品価格が反映されているため、 予想されるインフレ率が上昇すれば、それを好感する可能性が高 いでしょう。
また、インフレの悪影響を排除するために、一部の債券ではリターンをインフレ率と連動させる仕組みを採用しています。
- 変動利付債の金利は、米財務省短期証券やポンド翌日物平均金 利(SONIA)などの基準となる金利インデックスの変動を反映し て決まったタイミングで変更されるため、主要な金利に連動して 上下します。
- 多くの国が発行している物価連動債(インフレ連動債)は、イン フレ率に連動するものです。物価連動債の元本と支払い金利は 消費者物価指数(CPI)の変動に合わせて変化し、インフレから 投資家を守ります。
例えば、商品指数など商品をベースにした多くの資産の場合、通常 はインフレ環境下でトータル・リターンが上昇するため、こうした資 産の組み入れはインフレによるポートフォリオへの悪影響を軽減す る役割を果たします。しかし、商品をベースにした投資対象は、商品 価格以外の要因の影響を受ける場合があります。例えば、石油株は 個別企業に固有の材料に基づいて変動する可能性があり、そのため に石油株と原油価格それぞれの動きが異なる局面も想定されます。